SNSやYouTubeで華やかな生活を見せびらかし、誰でも簡単に稼げるとうたうコンサルタント。実際には実績も経験もないのに、高額な料金を請求する詐欺師が後を絶ちません。
この記事では、コンサルタント詐欺の特徴や見分け方、被害に遭った場合の対処法まで、詳しく解説していきます。現在進行形でコンサルタントとの契約を検討中の人も、すでに契約してしまった人も、ぜひ最後までご覧ください。
コンサルタント詐欺の基本情報

コンサルタント詐欺の手口は年々巧妙化しています。まずは基本的な定義から、どんな分野で起きやすいのか、実際の被害額まで見ていきましょう。
コンサルタント詐欺とは?
SNSやインターネット上で、華やかな生活ぶりを見せつけながら、ビジネスの成功を約束する人がいます。実際には十分な実績や経験がないにも関わらず、「確実に稼げる」「人生が変わる」といった甘い言葉で誘い、高額な契約を結ばせる手口です。
契約金は数十万円から数百万円と高額なケースがほとんどです。しかも、契約後のサポートは形だけか、まったくない状態が続きます。中には、契約後に連絡が取れなくなるケースも珍しくありません。最近では、複数の詐欺グループが連携し、被害者を次々と紹介し合う「たらい回し商法」も増加中です。
コンサルタント詐欺が起こりやすい分野
YouTubeやSNSのフォロワー増加、アフィリエイト、株式投資、不動産投資など、お金に関する分野で多発しています。2023年の統計によると、投資系コンサルが全体の45%、SNSマーケティング系が30%、副業系が15%を占めています。
特に注意が必要なのが、最近流行の「副業系」コンサル。「毎月〇〇万円稼げる」「誰でも簡単に始められる」といった触れ込みで、若者を中心に被害が広がっています。就職氷河期世代をターゲットにした手口も出現し、「正社員になれる」「収入が安定する」といった文句で中高年層を狙うケースもあるようです。
コンサルタント詐欺の被害金額はどのくらい?
被害額は案件によって大きく異なりますが、最低でも30万円程度から、高額になると1000万円を超えるケースもあります。統計によると、最も多い被害額は50万円から100万円の範囲で、全体の約40%を占めています。
支払い方法は、現金一括かクレジットカードでの分割払いが一般的で、中には消費者金融からの借り入れをすすめられるケースも。一度契約してしまうと、解約・返金は極めて困難です。2023年の調査では、被害者の多くが借金をして契約金を工面しており、その後の生活に深刻な影響を及ぼしています。
コンサルタント詐欺のあるある特徴

コンサルタント詐欺師には、共通する特徴的な言動パターンがあります。これらの特徴を知っておけば、怪しい勧誘から身を守ることができるでしょう。
根拠のない言い切りや提案をする
コンサル詐欺では根拠のない断定的な表現を多用するのが特徴です。最近では、AIやビッグデータ分析といった専門用語を織り交ぜ、さも科学的な根拠があるかのように装うケースも増えています。
実績のある正規のコンサルタントは、むしろ慎重な物言いをします。「場合によっては」「状況次第で」など、条件付きの説明が一般的なのです。成功までの道のりや、起こりうるリスクについても、きちんと説明してくれるはずです。
個別の状況を考慮してくれない
正規のコンサルタントは、依頼者の状況をじっくりヒアリングした上で、オーダーメイドの提案をします。初回の打ち合わせだけでも1時間以上かけ、現状分析や目標設定を丁寧に行います。
一方、詐欺の場合は、相手の状況を聞こうともせず、用意された型通りの提案だけ。質問しても、具体的な回答が返ってきません。「まずは契約してから」「秘密のノウハウだから」と、具体的な説明を避けるのが特徴です。最近では、AIチャットボットを使って自動応答している詐欺師も。人間らしい返信で信頼を得ようとする新手の手口にも要注意です。
態度が高圧的で偉そう
高圧的な態度と言葉で利用者を焦らせようとします。SNSのダイレクトメッセージでは、「他にも興味を示している人が何人もいる」「枠が残りわずか」など、あおる文言が何度出てきます。
さらに、「この話を断るなんて頭がおかしい」「一生この程度の人生で終わるのか」など、相手を見下すような発言も。心理的に追い込んで、契約を迫るのです。
最近では、SNSで「成功者コミュニティ」を作り、集団で心理的圧力をかけるケースも出現中で「仲間外れにされたくない」という心理を巧みに突いてきます。
提案内容が抽象的で具体性がない
専門用語を多用し「マーケティング」「ブランディング」「コンテンツ戦略」など、聞こえの良い言葉を並べます。最近では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「Web3.0」といった流行のキーワードもよく出てくるでしょう。
しかし、具体的にどんな作業をするのか、どうやって成果を出すのか、明確な説明がありません。質問しても、「それは契約後のコンテンツに含まれている」「機密情報なので今は話せない」と、はぐらかされてしまいます。
実績の透明性が欠如している
「月収1000万円」「年商1億円」など、派手な実績をアピールするのも特徴です。しかし、その証拠となる資料は一切提示されません。
SNSには高級車や海外旅行の写真が並びますが、実は借り物やレンタル。見せかけだけの華やかさなのです。最近では、AIで合成した偽の収益画面や、レンタルオフィスでの撮影など、手の込んだ演出も。「自分も稼げるかも」という期待をあおる、巧妙な心理戦が展開されています。
コンサルタント詐欺の被害事例

実際に起きた被害事例を見ていくことで、コンサルタント詐欺の手口がより具体的にわかってきます。どんな人がどのように狙われているのか、確認してみましょう。
LINEを通じた投資コンサル詐欺
2023年10月、沖縄県内で深刻な投資詐欺事件が発覚しました。LINEを通じて知り合った投資コンサルタントを名乗る人物から、「必ず儲かる」と勧誘され、複数の被害者が合計1億円以上の被害に遭いました。
被害者は最初、少額の投資で利益を得られるため信用してしまいます。その後「より大きな利益を得られる」と説得され、次第に投資額を増やしていきました。最終的には貯金を使い果たし、消費者金融からの借り入れまでして投資を続けた結果、生活が破綻してしまったのです。
情報商材を絡めた詐欺
2019年、国民生活センターは情報商材を絡めた詐欺的なコンサルティング被害の急増を報告しています。事例としては、副業に興味を持った30代女性が、SNSで見つけた「誰でも簡単に稼げる」という広告から、情報商材とコンサルティングのセットを契約したというものがあります。50万円を支払ったものの、届いた情報商材は価値のない内容でした。
さらに追加で「上位コース」への契約を迫られ、結果的に100万円以上の被害に遭うケースも。情報商材自体は数千円程度の価値しかないものの、コンサルティング料として高額な金額を請求されるのが特徴です。
YouTubeコンサル詐欺
近年、YouTube関連のコンサルティングを装った詐欺も報告されています。「チャンネル登録者数を確実に増やせる」「広告収入を短期間で得られる」といった誘い文句で、高額な契約を迫るケースがあります。
契約金は数十万円から100万円以上にも及び、実際には具体的なアドバイスもないまま、連絡が途絶えてしまうことも。YouTubeでの収益化を目指す人々の夢につけ込む、悪質な手口として要注意です。
怪しいコンサルタントの見分け方

信頼できるコンサルタントと詐欺師を見分けるポイントをご紹介します。契約前にこれらのチェックポイントを確認し、被害を未然に防ぎましょう。
実績や経験が曖昧な人物が多い
正規のコンサルタントは、自身の経歴や実績を具体的に説明できます。経験年数、担当企業数、具体的な成功事例など、数字を交えた説明が可能です。公式サイトには、会社概要や代表者プロフィールが明確に記載されているはずです。
一方、詐欺の場合は「数多くの実績がある」「多くの人を成功に導いてきた」など、曖昧な表現に終始します。具体的な数字を示さず、成功事例も「A社の売上が3倍に」といった具合に、検証不可能なものばかりです。
現実離れした成功を約束する
「初月から100万円」「3ヶ月で独立可能」など、非現実的な成功を保証するのが特徴です。最近では、「不労所得」「完全自動化」「寝ている間に稼げる」といった、努力不要を強調する文句も増加しています。
ビジネスには必ず失敗のリスクがあり、成果を出すまでには時間がかかるもの。即効性を強調する話には要注意です。正規のコンサルタントは、むしろリスクや必要な努力について、きちんと説明してくれるはずです。
高額な前払い金を要求する
正規のコンサルティングでは、成果報酬型や分割払いなど、柔軟な支払い方法に対応します。契約書も事前に確認でき、クーリングオフについても明確に説明があるでしょう。
詐欺の場合は、必ず前払いを要求するのが特徴です。しかも「今日中の振込」「24時間以内の決済」など、判断する時間を与えません。さらに、「この価格は今だけ」「期間限定の特別価格」と焦らせ、慎重な判断を妨げようとします。
SNSでの怪しい発信パターン
高級車、高級時計、高級ホテルでの写真投稿もよくあるSNS発信のパターンです。著名人との2ショット写真や派手な生活ぶりをアピールする投稿が目立ちます。最近では、AI生成画像を使って架空の成功事例を作り出すケースも少なくありません。
しかし、写真をよく見ると同じ場所、同じ構図のものが多く、演出された可能性が高いのです。時には、他人の投稿をそのまま転用している詐欺師もいます。画像検索で類似画像をチェックすれば、盗用が発覚することも少なくありません。
具体的な説明を避ける
具体的な説明を避け、曖昧な言葉を使うのも怪しいコンサルタントの特徴です。「独自のノウハウがある」「秘密の手法がある」と言いながら、具体的な説明を避けます。「機密保持契約が必要」「特許出願中の技術」など、もっともらしい理由をつけて説明を先延ばしにします。
質問しても「契約後に明かす」「秘密保持契約が必要」など、はぐらかし続けるのが特徴です。正規のコンサルタントなら、事前相談の段階でも具体的な支援内容や方法を説明してくれるはずです。
コンサルタント詐欺の被害に遭った場合の対処法は?

もし被害に遭ってしまった場合でも、あきらめる必要はありません。まずは落ち着いて、以下の対処法を実践していきましょう。
証拠を保全する
LINE、メール、SNSでのやり取り、契約書、領収書、振込明細、説明時の録音データ、できる限り多くの証拠を保管します。スマートフォンの画面録画機能を使って、オンラインミーティングの様子を記録しておくのも有効です。
詐欺師は証拠隠滅を図ることが多いので、スクリーンショットを取るなどの対応が重要です。SNSのメッセージや投稿は、突然削除される可能性もあります。Web魚拓を使って記録を残しましょう。
金融機関に相談する
警察と連携して、詐欺師の口座凍結ができるケースがあります。振込先の口座情報は必ずメモを取っておきましょう。
クレジットカード決済の場合は、カード会社にチャージバック(支払い取り消し)を申請することも検討するとよいでしょう。
専門家に相談する
消費者庁、国民生活センター、警察、弁護士など信頼できる専門家に相談し、具体的な解決策を探ります。特に、詐欺グループの実態解明には、専門家の助けが不可欠です。
一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で相談するのがポイントです。同様の被害に遭った人のSNSグループなども存在するので、情報収集に活用するのもよいでしょう。
コンサルタント詐欺の無料相談先

被害に遭った場合の相談先は数多くあります。以下では、無料で相談可能な主要な窓口をご紹介します。状況に応じて、適切な相談先を選びましょう。
国民生活センターへの相談
電話番号188で、消費者ホットラインに繋がります。経験豊富な相談員が対応し、具体的なアドバイスをしてくれるでしょう。土日祝日も対応しているので、仕事が忙しい人でも相談しやすい上、相談内容によっては弁護士や専門機関も紹介してもらえます。
警察への被害届提出
警察相談専用電話#9110で、まずは相談しましょう。警察は、同様の被害情報を数多く把握しており、組織的な詐欺グループの摘発にも力を入れています。内容によっては、刑事事件として立件されるかもしれません。
弁護士への相談
コンサルタント詐欺の被害者が金銭の返還や慰謝料を請求したい場合、弁護士への相談が有効な手段となります。詐欺に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。示談交渉から民事訴訟まで、状況に応じた適切な法的対応が可能です。また、弁護士会の無料相談窓口も信頼できる相談先ですので検討すると良いでしょう。
実績豊富な弁護士事務所では、初回相談を無料で受け付けており、費用や見通しについても丁寧に説明してくれます。被害金額の返還請求はもちろん、悪質な詐欺グループに対する刑事告訴のサポートまで、幅広い支援を期待できます。
ただし、相手の身元が不明確だったり、証拠が不足していたりすると、期待通りの法的対応が難しいかもしれません。そのため、調査会社で証拠を集めてから弁護士に依頼すると、より効率的に解決に向けて動き出すことができます。
調査会社へ調査依頼
被害者の多くが、加害者の素性を知らないまま被害に遭っています。調査のプロなら、わずかな手がかりから、相手の正体を突き止めることが可能です。
SNSアカウントの背景に写り込んだ建物や、投稿時の位置情報など、些細な手がかりから調査を進めていきます。時には投稿された写真のデータから位置を特定したり、使用しているデバイスの情報から行動範囲を推測したりすることも。
また、取引先の情報や、契約書に残された痕跡から、関連企業や協力者のネットワークを解明することも可能です。プロの調査員は、このような専門的な調査手法を駆使して、詐欺グループの実態に迫っていきます。
まとめ

コンサルタント詐欺の被害は、年々増加の一途を辿っています。最新の手口を知り、慎重な判断を心がけることが大切です。
コンサルタント詐欺でお困りのときは、当メディアが紹介する法律事務所へご相談ください。相手の素性がわからず難しいケースでも、解決に向けて身元を暴きます。
単独での解決が難しい場合も、専門家のサポートがあれば解決できるかもしれません。一人で悩まず、まずは相談してみましょう。