近しい方から相続した土地の中に、元々「原野商法」と呼ばれる悪質な商法で買わされてしまった土地が残っているという方もいらっしゃるでしょう。
今この原野商法で購入した土地を相続した方が、いわば原野商法の2次被害に遭うケースが出てきてしまっています。
元々原野商法とは今から30年ほど前に流行した手口であり、一部の悪質な事業者が文字通り原野の土地を「将来確実に値段が高騰する」などと持ちかけて販売したことで、多数の方が被害にあってしまったというものです。
時を経ることおよそ30年。
今度はその土地を相続してしまった方が被害に遭われるというケースが出てきているのです。
そこで今回は原野商法のそもそもの仕組みについて解説するとともに、2次被害に遭われてしまった方へ向けて対処法などもご紹介していきます。
なお当サイトでは、原野商法の詐欺被害にあった方が相談できる弁護士の情報についても紹介しています。是非、参考にしてみて下さい。
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【おさらい】30年前に流行した原野商法とは

原野商法というのは、不動産販売業者が、無価値に等しい土地を言葉巧みに高額で売りつけるというタイプの悪徳商法のことです。
二束三文の原野を高い値段で売りつけるという悪徳商法であり、架空の開発計画を告げ、あたかも値上がりするかのように見せかけていました。
この方法・手法により販売された土地は当然のことながら転売のあてもなく、売却しようにも二束三文で売れれば良い方で、実際には全く価値がつかないというケースもあります。
原野商法の土地を相続する人多発中

昨今、30年前の原野商法の被害に遭われたご本人様から土地を相続される方が増えています。
先ほどまでにご紹介している通り、原野商法は1960~1980年代頃に流行った悪徳商法です。
そのため現在の80歳前後の方々が詐欺被害を受けていることになります。結果として、亡くなる方も増えているのが現状です。
親が亡くなり、相続財産を整理しているときに、原野を所有していたことが発覚した、というケースも少なくありません。
原野商法で騙されたことを子供たちに伝えることができず、隠したまま亡くなってしまうケースもあるためです。
もちろん、親から原野の話を聞かされているケースもあります。

原野商法の土地を相続する可能性のある人は?

結論としては現在80歳前後の高齢者の方で、原野商法と思われる土地を保有されている方のご兄弟や息子様・娘様の場合は土地を相続する可能性があります。
つまり土地のみならず、ご本人様の遺産を相続する可能性のある立場におられる方は遺産の相続放棄を行わない限り自動的に原野商法で売りつけられた土地もついてくるというわけです。
その他詳しく解説していきます。
被害者の子供世代
被害者の子供世代というのは、親から相続を受ける一番可能性が高い世代です。ほぼすべてのケースで「万が一」の場合には自動的に相続することになります。
よって知らず知らずのうちに謎の土地の権利者になっているケースもあるでしょう。だいたい現在50歳〜60歳あたりの世代が該当します。
被害者の孫世代
親世代は相続せず、さらに下の孫世代に土地などの遺産を引き継がせる可能性も考えられます。また、親世代がすでにいない場合も孫世代が引き継ぐことになります。
孫世代というと年齢的に20〜30歳の場合が多く、土地に関する知識も浅く、二次被害にも遭いやすい世代と言えるでしょう。
被害者の親族
子供や孫でなくとも土地を相続する可能性はあります。具体的には親族の方が被害者の方やその子ども世代を助けるために土地の譲渡を受けていたというような場合です。
こちらのケースも助けようとして土地の譲渡を受けたは良いものの、実際には土地を処分することができず「塩漬け」になっているというケースがままあります。
自分の世代で原野を処分しよう、と考えて焦ってしまうと二次被害に遭いやすいため要注意です。
原野商法の土地を相続してしまった場合に起こること

原野商法の被害者リストは「カモリスト」として出回っていることもあります。そのため、実家を引き継いだ場合、リストに載っているという理由から連絡がある可能性が高いのです。
それ以外にも、なんらかの情報網で土地を相続したことが業者にバレてしまうケースも考えられます。その結果、原野商法の二次被害に巻き込まれる可能性もあります。二次被害が一番厄介なので注意が必要です。
その他、具体的には以下のような被害に遭う可能性があります。
土地売却の打診が来る(二次被害)
二次被害としては、土地売却の打診がくるというケースです。
単なる土地売却ではなく、土地売却と同時に別の土地をさらに高額で買わされる可能性もあります。
言葉巧みに勧誘してくるため、そのような契約になっていると気づかずサインしてしまうことも少なくありません。
購入したい人がいるため「調査費用」や「整備費用」などがかかる、などといわれ、支払ったものの購入されなかった、というケースも見られます。
謎の管理費を請求される(二次被害)
突然知らない業者から管理費を請求されるケースもあります。
管理費を滞納しているので支払えとの通知が届きます。購入当初に管理会社を入れていたケースもありますが、それとは無関係の業者から連絡がくることもあります。
相続した場合には、土地の詳細はわからないため、騙されて支払ってしまうケースも少なくないのです。
土地が処分できずに困る
原野は本来であれば無価値な土地なので、自治体ですら寄付を受けてもらえない可能性が高いです。
購入したい人も現れず、利用する方法もなく、ただただ税金だけがかかってしまうという可能性もあります。
「原野商法の土地を相続した人向け」よくある質問集
原野商法の土地を相続してしまった方向けのよくある質問をまとめました。相続してしまった方も、相続の可能性がある方もご一読ください。
Q:原野商法の土地だけ相続放棄できる?
A:原野商法の土地のみを放棄して、その他の遺産は相続するということはできません。
そのため、原野商法の土地を相続放棄したい場合、他の全ての遺産も放棄する必要があり非現実的です。
特に自宅など他の不動産がある場合、相続放棄は簡単ではないので前もって対策をしておく必要があります。
Q:相続してしまった原野商法の土地、処分する方法は?
A:相続または遺贈により土地の所有権を取得し相続した人が、土地を手放して国庫に帰属させることができる制度が、令和5年4月27日からスタートすることになりました。
原野の処分に困っていると言う方は、この制度を使って土地を処分するのがおすすめです。
この制度は、「相続土地国庫帰属制度」というもので、法務局による審査があります。処分費はかかりますが、だいたい20万円程度と考えられます。審査に通らないとこの制度は利用できないため注意が必要です。
Q:原野商法の土地を高値で買い取ってくれると言われています。売っても大丈夫ですか?
A:原野商法の土地を高く買い取ってくれると持ちかけられた場合でも、まず疑ってかかる必要があります。
原野商法で買った土地に価値が生まれる可能性は低く、特に業者側から勧誘がきた時は二次被害に逢う可能性が極めて高いと考えて良いでしょう。
その場で強く契約を迫ったり、勧誘が強い場合は特に危険です。そんな時には、自分1人で判断しないことが大切です。

まとめ

今回は、原野商法について解説してきました。不動産の処理というのは、相続をしていてもよくわからず困ってしまうという方も多いです。
相続をするのであれば、しっかりと知識をつけて、詐欺被害に遭わないようにしなければいけません。
原野商法の被害回復に強い弁護士は、以下のボタンからチェックしてみてください。
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