借金返済が苦しいなら、債務整理をすればいいのでは?と思うかもしれません。債務整理は借金を減額できる可能性があるため魅力的な選択肢に見えますが、信用情報への影響、保証人への負担、弁護士費用など、債務整理にはさまざまなデメリットがあるんです。
債務整理を検討している方は、メリットだけでなく、デメリットも十分に理解した上で、慎重に判断することが大切です。この記事では、債務整理のデメリットについて詳しく解説していきます。
国が認めた「債務整理」という手続きを活用すれば、月々の返済額を減らしたり、日々の取り立てを止めたりすることができます。手続きはカンタンなので、まずは債務整理に強い専門家に無料相談してみましょう。
債務整理の基本とその種類
債務整理は多重債務に悩む方が借金から解放されるための法的手続きで、代表的な方法として「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つに分類されます。
それぞれの特徴と違いを理解し、最適な選択をすることが大切です。それぞれについて詳しくみていきましょう。
債務整理とは?
債務整理は、借金問題を解決するための法的な手続きです。返済が困難になった債務者が負担を軽減する手段として広く利用されており、主な方法には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。
債務整理を考える際には、各手続きのメリットとデメリットを把握し、自分の状況に最も適した方法を選択することが大切です。
任意整理の特徴
任意整理は借金返済による苦しい状況を打開するため、債権者と直接交渉を行う手続きです。
最大の特徴は裁判所を介さず、手続きが比較的簡単で周囲に知られるリスクが少ないこと。
債権者と交渉して将来の利息をカットしたり、返済期間を延長したりして毎月の返済額を軽減します。手続きは弁護士や司法書士を通じて行うため、準備する書類や証拠が少なく済むのもメリットです。
ただし元金の減額は難しく、一定の返済能力が必要になるので、無職や収入が不安定な方には不向きです。自分の返済能力をしっかり理解した上で選択すべき方法といえるでしょう。
個人再生の特徴
個人再生は、返済できないほど大きな借金を抱えるものの、収入がある人に適した手続きです。
裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残りを計画的に返済していきます。最大の魅力は、マイホームを失わずに手続きを進められる点です。
裁判所に「再生計画」という返済計画を提出し、承認されれば債務者は計画に基づいて返済を続けることになります。計画には月々の収入や支出、減額後の借金額、返済方法を詳しく記載します。
特定の条件を満たす場合は住宅を手放さずに返済を続けることが可能なため、特に住宅ローンを抱えている人に有利な方法です。ただし、安定した収入がないと再生計画は認められません。手続きが官報に掲載されるため、周囲に知られるリスクもあります。
そのため、冷静に自分の状況を見極め、返済計画を立てることが大切です。
自己破産の特徴
自己破産は、多額の借金に対処するための最後の手段であり、裁判所に申し立てを行うことで全ての借金を免除する手続きです。
自己破産をすると財産を失うリスクがありますが、全ての借金から完全に解放される強力な効果があります。
手続きは裁判所に申し立てを行い、必要な書類を提出しなければいけません。債務者の資産や収入、借金の額、借り入れ理由などが詳しく調査され、裁判所が破産を認めれば、借金の全額が免除されます。ただし、不動産や高価な車などの資産は差し押さえられます。
弁護士や税理士、公認会計士などの特定の職業に就いている場合は、破産により一定期間業務が制限される可能性も。自己破産の情報は官報に掲載されるため、周囲に知られるリスクも伴います。
借金問題から完全に解放される最大のメリットがある一方、さまざまなデメリットもあります。専門家と十分に相談し、自分にとって最適な方法かどうかの確認が大切です。
債務整理の共通デメリット
債務整理は借金を減らす魅力的な手段ですが、デメリットもあります。
信用情報への影響や保証人への負担、弁護士費用などのデメリットを理解し、適切な選択ができるようにしておきましょう。
信用情報への影響
債務整理を行うと、信用情報機関に事故情報として登録され、5~10年間、クレジットカードの新規発行やローンの利用が制限されます。信用情報への影響は債務整理後の経済生活に大きく影響を与える重要なものです。
信用情報機関にはCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなどがあり、債務整理や延滞などの情報を登録して金融機関がローン審査などで利用します。債務整理を行うと、「事故情報」として登録され、新たな借り入れが非常に難しくなってしまいます。
既存のクレジットカードも使用停止となり、場合によっては即時解約されてしまうことも。日常の買い物や緊急時の支払いに利用していたカードが使えなくなるのは非常に不便です。時間が経つと再申請は可能になりますが、間違いなく審査は厳しくなるでしょう。
信用情報への影響は短期的なものではなく、中長期的に及ぶ重大なリスクです。債務整理を決定する前に、信用情報への影響を十分に理解してから検討しましょう。
保証人への影響
債務整理を行うと、借金の連帯保証人に対しても影響が及びます。特に自己破産や個人再生では、保証人に借金の肩代わりが求められるリスクもあります。保証人との関係が悪化する可能性があるため、慎重な対応が必要です。
債務整理の手続きを開始すると、保証人には債権者から請求が届きます。保証人は債務者と同様に返済義務を負うため、債務者の借金が免除されても、保証人に請求されてしまうのです。「保証人になってしまったばっかりに、突然多額の返済を求められることになってしまった」なんてこともあり得ます。個人再生でも同様のリスクは避けられません。
こうしたリスクを回避するためには、債務整理を決断する前に保証人と話し合いが必要です。保証人との信頼関係を大切にしながら、専門家と連携して最適な手続きを選択しましょう。
弁護士費用
債務整理を行う際は、専門の弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。費用は手続きの種類や事務所によって異なりますが、数万円から数十万円が相場となっています。
任意整理の弁護士費用は比較的安価で済むことが多く、数万円からスタート。依頼する債権者数によって変動します。複数の事務所で見積もりを取るようにしましょう。
個人再生や自己破産の場合、手続きがより複雑で時間がかかるため、費用も高くなります。数十万円程度が相場で、追加費用が発生することも。
費用はかかりますが、一時的なものです。弁護士や司法書士の専門知識と経験は、手続きをスムーズに進め、成功率を高めるための価値があります。費用を見直し、予算内で最善のサポートを受けることが重要です。
各手続きの具体的なデメリット
債務整理には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。任意整理、個人再生、自己破産の具体的なデメリットを理解して、自分に最適な選択肢を見つけましょう。
任意整理のデメリット
任意整理の手続きは比較的簡単で迅速に行うことができ、周囲に知られにくい方法です。しかし、元金の減額は難しく、返済総額を劇的に減らすことはできません。
継続的な収入が必要で、無職の方や収入が不安定な方には不向きです。信用情報に事故情報が記録されることでクレジットカードやローンの利用も制限されてしまうため、将来的なクレジット取引が困難になります。
弁護士や司法書士に依頼すると数万円から数十万円の費用がかかることも覚悟しておきましょう。
個人再生のデメリット
個人再生には安定した収入が必要で、収入が不安定であったり、無職の方には手続きが認められません。
手続きを開始すると官報に掲載されます。官報は誰でも閲覧可能であり、知人や職場の人に知られるリスクがあります。
また、手続きは複雑で時間がかかるため、専門家の力を借りなければいけません。弁護士や司法書士に依頼する費用も数十万円にのぼり、経済的な負担が大きくなります。
信用情報に事故情報が記載されることでクレジット取引も制限され、一般的に5年から10年間続くため新しい借り入れやクレジットカードの利用が難しくなってしまいます。
自己破産のデメリット
自己破産は、借金を全額免除できる最も強力な債務整理手続きですが、代償も大きいです。所有する財産の大部分を失うリスクがあります。不動産、車、貴金属などの高価な資産や居住している家を手放さなければならないケースも。
手続きは官報に掲載されるため、知り合いに破産を知られてしまうリスクもあります。
士業(弁護士、司法書士、税理士など)や宅地建物取引士、公認会計士などの特定の職業には一定期間就けなくなり、キャリアにも大きな影響が及びます。
自己破産後の信用情報への影響も深刻です。信用情報機関に事故情報が登録され、クレジットカード発行やローン借り入れが困難になります。制約は10年間続くことが多く、経済活動に大きな制限をもたらすでしょう。
手続きには数十万円程度の費用がかかります。借金が返せない状態で費用を捻出するのはとても難しいことが多いです。
まとめ
債務整理は、借金返済に行き詰まった状況を打開するための有効な手段です。信用情報への影響や保証人への請求など、注意すべき点はありますが、借金問題を放置するリスクを考えれば、債務整理を選択する意義は大きいでしょう。
債務整理の種類によってデメリットの内容や程度は異なるので、自身の状況に合った手続きを選ぶことが大切です。任意整理、個人再生、自己破産のそれぞれの特徴を理解し、弁護士など専門家の意見を参考にしながら、慎重に判断することをおすすめします。
借金問題解決だけでなく、手続き後の生活再建も見据えて取り組むことが大切です。借金の再発防止に努め、安定した生活を送れるようにしていきましょう。
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