個人間の借金。誰しもが経験したことがあるか、少なくとも耳にしたことがある話題でしょう。「友人や知人からお金を借りる、あるいは貸す」。
一見単純に思えるこの行為だからこそ、時として複雑な問題を引き起こします。特に、返済が滞った場合や、時間が経過してしまった場合はどうなるのでしょうか?
そこで重要になってくるのが「時効」という概念です。借金にも時効があるというのは、案外知られていない事実かもしれません。
この記事では、個人間の借金における時効の問題を詳しく解説していきます。さらに、借金を巡るトラブルを避けるための対処法についても触れていきましょう。
国が認めた「債務整理」という手続きを活用すれば、月々の返済額を減らしたり、日々の取り立てを止めたりすることができます。手続きはカンタンなので、まずは債務整理に強い専門家に無料相談してみましょう。
個人間借金の時効はいつから始まる?改正民法の影響は
まず押さえておきたいのが、借金の時効がいつから始まるのかという点です。実は、この部分に関して2020年に大きな変更がありました。
民法改正の影響で、時効の考え方が変わったのです。では、具体的にどう変わったのでしょうか?
借金の時効期間
2020年4月1日以降に発生した借金については、新しいルールが適用されます。権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方が時効期間となるのです。
例えば、友人から100万円を借りたとします。返済期限が1年後だとしましょう。この場合、友人(債権者)は返済期限が来た時点で権利を行使できることを知った(≒金返せ!と言える時期が来た)と考えられます。よって、その時点から5年後に時効を迎えることになります。
改正前と改正後で変わったこと
ここで注意が必要なのは、2020年3月31日以前の借金に関しては、旧民法が適用されるという点です。
旧民法では、個人間の借金の時効期間は一律10年と定められていました。
つまり、改正によって時効期間が短くなった可能性があるのです。ただ、これは必ずしもすべての場合に当てはまるわけではありません。状況によっては、旧民法の方が有利な場合もあるでしょう。
借金の時効はいつから数え始める?
借金の時効がいつから始まるのかという点も、重要なポイントです。先述のとおり返済期限が定められている場合は、その期限から時効が進行し始めます。
一方、返済期限が定められていない場合は、貸付日の翌日から時効が進行します。
例えば、2023年1月1日に100万円を借りて、返済期限を2024年1月1日と定めた場合。時効の起算点は2024年1月2日となります。返済期限を定めなかった場合は、2023年1月2日が起算点になるわけです。
個人間借金の時効が更新されるケースとは
借金の時効について理解を深めたところで、次に気になるのが時効の「更新」(旧:中断)です。一度始まった時効が、どのような場合にリセットされるのか見ていきましょう。
債務承認で時効はリセットされる
最も一般的な時効更新のケースが、債務承認です。
債務者が借金を認めたり、一部でも返済を行ったりすると、その時点で時効がリセット(=更新)されてしまいます。
例えば、借金をしてから4年が経過した時点で、債務者が「確かに借りています」と認めてしまうと、その時点から新たに時効が進行し始めます。また、わずかでも返済を行えば、やはり時効はリセットされてしまうのです。
このことから、借り手(債務者)としては時効を主張したい場合、むやみに債務を認めたり、部分的な返済を行ったりすることは避けた方が賢明です。一方、貸し手(債権者)としては、定期的に債務の確認を行うことで、時効の完成を防ぐことができる可能性もあります。
裁判所を通じた請求で時効は止まるのか
債権者が裁判所を通じて債権を請求した場合、時効の完成が猶予されます。具体的には、訴訟の提起や支払督促の申立てなどが該当します。
ただこれは、時効を完全に止めるわけではありません。
裁判が終了してから6ヶ月以内に強制執行などの手続きを行わないと、時効の進行が再開されてしまいます。
つまり「その後の対応」が重要になってくるのです。
債権者からの催促で時効は更新されるのか
実は「催促・催告・督促」と法的に認められるには、債権者からの単なる催促では不十分です。これだけであれば、時効は更新されません。つまり単に電話や内容証明などではない手紙で「返してください」と言われた場合、それだけでは時効の進行に影響ありません。
しかし、ここで注意が必要です。
催促に対して債務者が「はい、借りています。返します」などと応じてしまうとそれが債務承認と見なされ、法的な催告でないにも関わらず時効が更新される可能性があるのです。
このように、時効の更新に関しては細かな点に注意が必要です。
個人間借金の時効援用するときの手順
さて、ここまで借金の時効について詳しく見てきました。では、実際に時効を主張する場合はどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、時効を援用する際の具体的な手順を解説していきます。
時効援用の意思表示はどうすればいいか
時効を主張することを「時効の援用」と言います。時効の援用は、債務者が行う必要があります。つまり、時効期間が過ぎれば自動的に借金が消えるわけではないのです。
時効援用の意思表示は厳密に言うと、口頭でも有効になりうるものです。しかし、後々のトラブルを避けるためにも、内容証明郵便などの書面で行うのが一般的です。書面で行うことで、いつ、どのような形で時効を援用したのかが明確になります。
内容証明郵便を送る際は、借金の内容(金額、借入日など)を明記し、「民法の規定に基づき時効を援用します」といった文言を入れることが重要です。
時効援用の証拠として用意するもの
時効を援用する際には、できる限り証拠を用意しておくことが望ましいです。最終返済日や借入日を示す書類、過去の請求書や督促状などが証拠として有効です。
例えば、銀行の振込記録や、借用書のコピーなどがあれば、借入の事実や最終返済日を証明することができます。また、債権者から送られてきた請求書や督促状があれば、それも重要な証拠になります。
このあたりは時効の起算点を明確にするためだけでなく、借金の存在自体を証明する上でも重要です。特に口約束で借りた場合などは、こういった証拠が非常に重要になってきます。
時効援用後のトラブル回避策
時効を援用したからといって、すべてが終わるわけではありません。時効援用後も債権者から連絡がある場合もあります。そのような場合は、専門家に相談するのが賢明です。
弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することで「感情的なもつれ」を避けることもできるでしょう。
時効援用は債務者の権利ですが、同時に債権者との関係性を考慮する必要もあります。特に、身近な人間関係での借金の場合は、法的な側面だけでなく、人間関係への影響も考慮に入れる必要があるでしょう。
個人間借金で揉めないための対処法
借金を巡るトラブルは、時効の問題に限りません。そもそも借金に関するトラブルを避けるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、個人間の借金で揉めないための対処法をいくつか紹介します。
借金の際に契約書を作成する
友人や知人との間で借金をする場合、「信頼関係があるから大丈夫」と考えがちです。しかし、後々のトラブルを避けるためにも、きちんとした契約書を作成することをお勧めします。
契約書には、借入金額、返済期限、利息の有無とその率、返済方法などの条件を明確に記載します。
両者の署名や押印も忘れずに。このような形式的な手続きは、お互いの信頼関係を損なうものではありません。むしろ、明確なルールを設けることで、より健全な関係を築くことができるのです。
返済計画を見直したい場合
借金をした後、予想外の出来事で返済が厳しくなることもあります。そのような場合は、早めに債権者と相談し、返済計画の見直しを行ったほうが良いでしょう。
こういった相談は早めが良く、あまりにもギリギリになると相手が噴火しかねません。また相談をする=事実上の債務承認となりますので時効援用はこの時点で不可能になる可能性が高いことも注意点です。
第三者を介在させる
借金を巡る問題で、当事者同士の話し合いがうまくいかない場合もあります。そのような時は、第三者を介在させるのも一つの手段です。
状況がより「こじれてしまった」場合は、弁護士や司法書士といった専門家を介在させるのも良いでしょう。法律的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。また、感情的になりがちな両者の間に立って、冷静な判断を下すこともできます。
まとめ
個人間の借金は、その性質からして非常にデリケートな問題を含んでいます。時効の問題一つ取っても、法律的な知識が必要になってきます。さらに、人間関係という要素も絡んでくるため、単純に割り切れない場合も多いでしょう。
しかし基本的な知識を持ち、適切な対応を心がけることで、多くのトラブルは回避できます。
借金をする際は契約書を作成し、返済が滞りそうな場合は早めに相談する。時効の問題が出てきた場合は、専門家のアドバイスを受けながら慎重に対応する。
こういった基本的な心構えを持つことで、個人間の借金を巡る問題は大きく改善されるはずです。借金は避けられない場合もありますが、それを上手に管理し、健全な人間関係を保つことは十分に可能です。
なお、当サイトで紹介している司法書士事務所はこうした個人間借金に関する相談はもちろん、カードローン業者や闇金からの借金についても相談可能となっていますので参考にしてください。
債務整理おすすめ事務所10選!弁護士・司法書士費用を比較
【債務整理におすすめ】当サイト人気の弁護士・司法書士
- ①【迷ったらココ】司法書士法人ライタス綜合事務所
→相談無料・最短即日対応・30年以上の豊富な実績など借金に困ったら最初に相談したい当サイト人気NO.1の司法書士事務所
(相談はこちらをタップ) - ②街の灯法律事務所
→弁護士歴が30年以上あり、闇金対応などの借金問題の経験と実績が豊富な弁護士事務所 - ③真下博孝法律事務所
→任意整理をはじめ時効援用や信用情報回復など幅広い分野で対応可能な弁護士事務所