身近な人の死という悲しい出来事に加え、思いがけない借金の問題に直面する人が増えています。「親が残した借金、私が返さないといけないの?」「死んだらチャラになるって聞いたけど本当?」「もう限界なのに、相続した借金まで返せない…」。
当メディアの債務者軍団も日々DMなどで相談を受けている中、このような深刻な声が数多く寄せられます。今回は、具体的な事例を交えながら、借金相続の問題について判断の材料となる重要なポイントを徹底的に解説しましょう。
国が認めた「債務整理」という手続きを活用すれば、月々の返済額を減らしたり、日々の取り立てを止めたりすることができます。手続きはカンタンなので、まずは債務整理に強い専門家に無料相談してみましょう。
借金は死亡で帳消しになる?
世間では「死んだら借金はチャラになる」という噂が根強く残っていますが、結論から申し上げると、それは誤りです。借金は相続財産の一部として扱われ、法律上、他の財産と同様に相続人に引き継がれます。
住宅ローン、銀行借入、消費者金融からの借入、クレジットカードの支払い、水道光熱費の未払い分、さらには税金の滞納分まで、全てが相続の対象です。法律では「債務」と呼ばれるマイナスの財産も、預貯金や不動産といったプラスの財産と同じように相続されることが定められているのです。
借金の相続について誤解が生まれる背景には、「相続放棄」という選択肢の存在があります。確かに相続放棄をすれば借金を引き継がなくて済みますが、それには厳格な手続きと期限があり、楽観的に「死んだらチャラ」と考えることは危険です。
相続人がいない場合の借金はどうなる?
万が一、相続人が一人もいない状況となった場合、法律上は国庫に帰属することになります。「相続人不存在」と呼ばれるこの状況では、形式的には国が債務者となりますが、実務上、国が積極的に返済することはほぼありません。
住宅ローンの場合は例外あり?
現在の住宅ローンのほとんどには「団体信用生命保険」(団信)が付帯されており、借入者が死亡した場合は保険金によってローンが完済される仕組みが整っています。
連帯保証人がいる場合はどうなる?
連帯保証人には非常に厳しい現実が待っています。債務者本人が亡くなったとしても、保証人としての義務は一切消えません。相続放棄をしても同様です。
実際の相談現場では「親族だから」「会社の同僚だから」と気軽に保証人になり、後になって苦しむケースが後を絶ちません。保証人になる際は、このリスクをしっかり認識しておく必要があります。
【死んだらチャラ?】借金が相続される場合の段取りまとめ
遺言書による指定がない場合、相続人は法定相続分に応じて債務を引き継ぐことになります。法定相続分とは、民法で定められた各相続人の相続割合のことです。
ここで重要なのは、プラスの財産(預貯金、不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金)も法定相続分に応じて承継されるという点です。相続人の意思とは関係なく、法律の規定によって自動的に相続が開始されます。
相続人の範囲と順位
相続人の範囲は民法で明確に定められています。まず、配偶者は常に相続人です。他の相続人については順位があり、上位の人がいる場合は下位の人は相続人になれません。
第一順位は子供(代襲相続人を含む)です。子供には養子も含まれ、婚外子も婚内子と同じ権利を持ちます。第二順位は父母、第三順位は兄弟姉妹となっています。
気をつけたいのは、親が離婚していても子供の相続権には影響しないという点です。「もう何十年も会っていない親の借金なんて関係ない」と思っても、法律上は相続人としての権利と義務が発生します。
相続分の計算方法
相続分は具体的な状況によって変わり、最も一般的なケースである配偶者と子供がいる場合、配偶者が財産の2分の1を相続し、残りを子供たちで均等に分けることになります。
子供がいない場合は、配偶者が4分の3、父母が4分の1。兄弟姉妹が相続人となる場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹で4分の1を分けることになります。
注意すべき重要なポイントとして、相続人同士で分割方法を決めても、それを理由に債権者からの請求を拒むことはできません。つまり、「兄が全部引き受けると言ったから私は関係ない」という主張は通用しないのです。
債権者からすれば、法定相続分に応じた請求権を持っているため、相続人間の内部的な取り決めは関係ありません。このため、相続人の誰かに支払い能力がない場合、他の相続人が予想以上の負担を強いられることになりかねません。
知らない借金も相続対象になる
債務者の死亡後に発覚した借金であっても、相続対象となります。金融機関からの借入れだけでなく、課税されていない税金や、取引先への未払金なども相続対象です。
相続開始を知った時から3ヶ月以内に対応する必要があり、この期間を過ぎると原則として相続放棄はできなくなります。
「知らなかった」では済まされないということを覚えておきましょう。
【故人の借金を相続したくない】借金相続を回避する正しい方法は?
借金を相続したくない場合の選択肢として、「相続放棄」と「限定承認」という2つの方法があります。どちらを選択するにしても法的手続きが必要となり、一度選択すると原則として取り消すことができません。
相続放棄の手続き方法
相続放棄は家庭裁判所への申述が必要です。期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内と定められており、この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。
さらに、相続放棄は個人の判断で行えますが、他の相続人の権利や義務には影響しません。兄弟姉妹の間で「私が相続放棄したから、あなたも相続放棄して」と強制することはできないのです。
限定承認という選択肢
限定承認は、プラスの財産の範囲内でのみ債務を返済する方法です。つまり、故人の遺産が1000万円で借金が2000万円ある場合、相続人は1000万円分までしか返済義務を負わないことになります。
実務上、限定承認の手続きは非常に煩雑です。財産の調査や目録作成には専門的な知識が必要ですし、清算手続きも法律で定められた順序に従って行わなければなりません。そのため、専門家のサポートなしでは適切な対応が難しいケースがほとんどです。
期限後の特別救済も?
原則として相続放棄や限定承認は3ヶ月以内に行う必要がありますが、特別な事情がある場合は例外的に救済される可能性があります。
具体的には、借金の存在を知るのが困難だった場合や、相続人が未成年で法定代理人がいなかった場合などです。また、相続人が入院していて手続きができなかった場合なども、正当な理由として認められることがあります。
専門家への相談が重要な理由
相続の判断は3ヶ月という短期間で行う必要がありますが、その判断が一生を左右する可能性があります。しかも、相続の問題は法律・税務・不動産など、さまざまな分野が絡み合う複雑な問題です。
正しい判断のためには専門家の支援が重要となりますが、どの専門家に相談すべきか迷うところです。一般的に、借金の相続問題では弁護士と司法書士が主な相談先となります。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、財産状況を正確に把握し、最適な対応を検討できます。特に借金が多額な場合や、債権者との交渉が必要な場合は、弁護士のサポートが効果的です。
具体的には、相続放棄すべきか限定承認を選ぶべきかの判断を支援してくれます。また、債権者との交渉も代行可能で、交渉経験の豊富な弁護士であれば、返済条件の緩和なども期待できるでしょう。
司法書士に相談するメリット
司法書士は相続手続全般をサポートできる専門家です。特に、相続放棄の申述書作成や必要書類の収集、家庭裁判所での手続き代行など、実務的なサポートが充実しています。
また、相続登記の専門家でもあるため、不動産が含まれる相続では心強い味方となるでしょう。相続した不動産の名義変更や、抵当権の処理なども任せられます。
早期相談の重要性
3ヶ月の期限を逃すと選択肢が限られてしまいます。相続財産の調査には予想以上に時間がかかることも多く、財産状況が把握できないまま期限切れとなるリスクも否めません。
また、専門家との相談にも時間は必要です。相談すれば即日で結論が出るわけではなく、財産状況の確認や今後の見通しを検討する時間も必要となります。特に限定承認を検討する場合は、財産の調査や目録作成に時間がかかるため、早めの相談が不可欠です。
相続人が知っておくべき重要ポイント
債務の相続は法律で定められた義務です。しかし、全ての相続人にその義務を強いることが適切とは限りません。借金相続の問題に直面した際、冷静な判断と適切な対応が求められます。
相続債務の問題は、単なる借金返済の問題ではありません。相続人自身の人生設計にも大きな影響を与える可能性がある重大な問題なのです。焦って判断を誤らないよう、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
債権者から一括請求される
死亡を理由に、期限の利益(決められた期日が来るまでローンの返済や代金の支払いなどをしなくてもよいという権利(利益))を失う場合があります。
多くの金銭消費貸借契約には「債務者が死亡したときは期限の利益を失う」という条項が入っています。その場合、残債務の一括返済を求められるかもしれません。
過払い金の確認
消費者金融などの古い借入がある場合、過払い金が発生している可能性があります。過払い金請求権は相続人にも引き継がれ、請求が可能です。
今後の対策
生命保険の活用を検討するのも良いでしょう。特に住宅ローンがある場合、団体信用生命保険への加入は必須です。また、個人で加入する生命保険でも、死亡保険金で借金を返済できる設計にしておくことで、相続人の負担を軽減できるでしょう。
借金の有無を家族で共有しておくことも大切です。
突然の相続で慌てることのないよう、普段から家族間で財産状況を話し合っておくとよいでしょう。特に事業を営んでいる場合は、事業承継の問題も含めて、早めの対策をしておく必要があります。
まとめ
借金の相続問題は決して「死んだらチャラ」とはいきません。むしろ、残された家族が大きな負担を背負うことになりかねない深刻な問題です。
しかし、法律は相続人保護の制度も用意しています。相続放棄や限定承認という選択肢があり、適切に手続きを行えば、過大な負担を回避することも可能です。
ただし、これらの判断には3ヶ月という期限があり、一度した判断は取り消すことができません。拙速な判断は禁物ですが、かといって判断を先送りにすることもできません。
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