「自己破産」と聞いて、年金の支払いが止まってしまうと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自己破産を行っても年金の支払いは止まりません。
これは、国民年金や厚生年金などの公的年金の受給権は、法律上、差押が禁止される財産とされているためです。
ただし、個人年金は資産として取り扱われるなど、その扱いが異なります。
この記事では、自己破産における年金の取り扱いについて、状況に応じて詳細に解説していきます。
国が認めた「債務整理」という手続きを活用すれば、月々の返済額を減らしたり、日々の取り立てを止めたりすることができます。手続きはカンタンなので、まずは債務整理に強い専門家に無料相談してみましょう。
【結論】自己破産しても年金は受け取れます
公的年金や企業年金の受給権は自己破産によって消滅しません。
年金は公的なもの(国民年金や厚生年金)については、差押禁止財産として保護されています。そのため、自己破産によって換価処分されることはありません。
ただし、公的年金の支払い義務も自己破産の影響を受けないため、滞納している年金の支払いがある場合、別途対応が必要となります。
一方、個人年金の場合は、自己破産の際に解約が必要となるケースがあります。その場合、受給できなくなることがあるため注意が必要です。
【ケース別】自己破産時の年金の取り扱い
自己破産時の年金に関しては、その人の状況によって異なります。
- 年金の支払いを滞納している場合
- 年金の滞納はなく、未だ受給年齢ではない場合
- 既に年金の受給が始まっている場合
- 個人年金に加入している場合
ここでは、4つのケースに分けて説明します。
ケース1:年金の支払いを滞納している場合
自己破産を行ったとしても、滞納している年金の支払い義務が残ります。
滞納していた支払いを解消するには、住んでいる地域の役所と相談し、支払い計画の調整が必要な場合があります。役所に相談することで、支払い猶予や滞納分の分割での支払いができる可能性があります。
ケース2:年金の滞納はなく、未だ受給年齢ではない場合
このケースでは、年金の支払いの滞納はないため、受給年齢になれば、自己破産の影響なく年金を受け取ることができます。
ただし、今後も滞納なく支払うことが前提です。自己破産によって支払いに影響が出る場合は早めに役所に相談に行きましょう。
ケース3:既に年金の受給が始まっている場合
既に年金の受給が始まっている場合、自己破産によって年金の支払いが停止することはありません。
ただし、いくつか注意が必要な点があります。
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- 年金を受け取るために使われている銀行口座は財産処分の対象になる恐れがある
一度銀行口座に振り込まれた年金は、自己破産の時には預金と同じように扱われます。そのため、「預金債権」として他の財産と同様に処分されてしまいます。
- 年金を受け取るために使われている銀行口座は財産処分の対象になる恐れがある
- 銀行口座の凍結
自己破産の際には、年金の支払いが振り込まれる口座も含めて、銀行口座が凍結されることがあります。これは、債務状況を把握するために手続きの間、一時的にお金の流れを止めるためです。もし、年金受け取りの口座と同じ銀行に借り入れがある場合、自己破産の手続きをする前に、年金の受け取り口座を別の口座に移しておくことが必要です。
凍結された銀行口座からは年金の受け取りや引き出しができなくなるため、生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
ケース4:個人年金に加入している場合
個人年金とは、公的年金が足りない場合や財政的な余裕を確保するために個人で加入するものです。
自己破産では、個人年金は財産として扱われる場合があります。そのため、没収の対象になる可能性があります。
なお、解約返戻金が20万円未満の場合や自由財産の拡張が認められるなどの条件が満たされた場合、個人年金は没収の対象にはなりません。
家族の年金の取り扱い
一般的に、自己破産した人の家族の年金には影響がありません。
今後も公的年金や企業年金の支払いを受け取ることができます。自己破産した人を含め、家族の公的年金の受給権については、自己破産の影響を受けません。
ただし、個人年金は影響を受ける場合もあります。これは、名義が自己破産をした人であった場合、受け取り人が家族だったとしても、処分の対象となってしまうためです。
自己破産時の年金に関する注意点
ここでは、自己破産時の年金に関する注意点について解説します。主な注意点は以下の3つです。
- 年金が振り込まれる銀行口座の凍結
- 年金担保貸付の返済は免除されない
- 個人年金の存在を隠すことはNG
以下、順を追って詳しくみていきます。
注意点1:年金が振り込まれる銀行口座の凍結
自己破産の手続きによって、銀行口座が凍結される可能性があるため注意が必要です。
これは、債務状況を確認するため一時的にお金の流れを止めるためです。そのため、借り入れがある銀行の口座は凍結されます。
もし、銀行口座を凍結されてしまうと、年金の受け取りや引き出しができなくなります。その結果、生活に大きな影響をもたらす恐れがあります。
年金受け取り口座が借入のある銀行と同じ場合は、自己破産の手続き前に年金受け取り口座を別の銀行口座に移しておきましょう。
注意点2:年金担保貸付の返済は免除されない
年金担保貸付制度は、年金受給者の年金受給権を担保として資金の貸付を行う制度です。返済分については、年金から天引きされます。
年金担保貸付は自己破産しても免除されないため、引き続き返済をする必要があります。貸付分の返済が終わるまで、返済分は年金から天引きされ、止まることはありません。
ただし、年金担保貸付制度は、令和4年3月末で申込受付を終了しているため、新規の借入はできません。現在借り入れている人が対象となります。
注意点3:個人年金の存在を隠すことはNG
個人財産の没収を恐れて、存在を隠すことは絶対にやめましょう。
たとえ財産を隠して申告したとしても、破産時の調査によって発覚します。破産管財人は徹底した調査を行いますので、隠したとしてもすぐに見つかってしまうのです。
わざと財産を隠したことが発覚した場合、免責が認められなくなります。これは「債権者を害する目的で破産財団に属するべき財産を隠匿した」という事由に該当するからです。
特に悪質な場合は、詐欺破産罪に問われることもあります。この場合、懲役や罰金、借金の返済などが義務付けられます。
自己破産時に個人年金をはじめとした財産を隠すことは、免責が認められなくなるだけでなく、犯罪となる可能性もあります。
財産隠しは絶対に行わず、正直に財産を申告するようにしてください。
自己破産時の年金の取り扱いは専門家へ相談を
自己破産に関して、司法書士や弁護士に相談・依頼することは多くのメリットがあります。
司法書士や弁護士に依頼し受任通知が届いた時点で、債権者からの取り立てがストップされるのも大きなメリットと言えます。
また、収入や財産などの具体的な状況を確認した上で、最適な方法を提案してもらうことも可能です。自分では自己破産以外考えられなかったとしても、自己破産以外の方法が最適なケースも少なくありません。
年金の取り扱いについても、専門家に相談することで、より一層安心感を得ることができるといえます。
まとめ
この記事では、自己破産時の年金の取り扱いについて解説しました。
自己破産をおこなったとしても、公的年金の受給権は剥奪されません。
ただし、個人年金については財産として取り扱われるため注意が必要です。自己破産申立時には、個人年金についても隠さず申請しなくてはいけません。
わざと隠すようなことをすれば免責が認められないどころか、犯罪になってしまう恐れもあります。
自己破産は、個人で行うには煩雑な手続きが多いため、すべての問題に対する正確な判断は困難です。
そのため、自己破産に強い司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
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