インスタグラムやXなどで副業の勧誘を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。「スマホ1台で月収50万円」「初期費用3000円で始められる」など、魅力的な言葉で誘われ、気づけば高額な情報商材やコンサルティング費用を請求される被害が深刻化しています。
2023年度の副業詐欺の消費者庁への相談件数は増加しており、被害者の年齢も若年化が深刻化。本記事では、副業詐欺の最新手口から具体的な対処法まで、実例を交えて詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
副業詐欺にあう流れとよくある手口
副業詐欺の手口はさらに巧妙化しています。SNSのアルゴリズムを巧みに利用し、ターゲットの興味関心に合わせた広告を表示します。心理的な隙を突いて、働き盛りの若者を次々と罠にはめていくのです。ここからはその流れと手口、被害額まで解説しましょう。
副業詐欺の基本的な流れ
SNSで副業収入の投稿を見かけ、興味本位でDMやLINEに登録すると、そこから悪夢が始まります。最初は「簡単に毎月20万円稼げます」といった甘い言葉で勧誘されます。登録した瞬間から、グループトークで「残り枠わずか」「特別価格は今日まで」といった焦りを煽るメッセージが届くのです。
一度登録すると、「より確実に稼ぐため」という名目で、数万円の情報商材購入を迫られます。断ると「このチャンスを逃したら一生後悔します」「今なら特別に分割払いに対応します」と執拗に勧誘されるのが特徴です。
その後も「上級講座」「プレミアムコース」と称して、次々と高額な商材やコンサルティングフィーを要求されます。支払いに応じないと、威圧的な態度に豹変するケースもあるようです。
SNSで勧誘されるケース
InstagramやXでは、高級車や豪華な食事、リゾート旅行など、贅沢な投稿を見せびらかす「ニセの成功者」が横行中です。実際はレンタカーや既存の写真を使い、裕福な生活を演出しています。プロフィール欄には「投資家」「起業家」「コンサルタント」といった肩書を並べ、信頼性を演出。
投稿に「稼ぎ方教えます」「副業に興味ある方はDM」といったメッセージを添え、興味を持った人をLINEやメールマガジンへ誘導します。誘導先では「限定募集」「今だけの特別価格」といった言葉で焦らせ、冷静な判断を妨げます。「すでに100名以上が成功しています」「今月の収入は〇〇万円」など、具体的な数字を挙げて信頼感を演出するのも常套手段です。
最近では、AIを駆使した自動応答システムも登場。24時間体制で返信し、本物の人間が対応しているように見せかけます。さらに、ターゲットの発言から心理状態を分析し、最適な勧誘文句を繰り出す手法も確認されています。
情報商材を利用した副業詐欺
情報商材詐欺の典型的な手口は、段階的な値上げにあるといっても過言ではありません。最初は数千円程度の入門教材を購入させ、その内容の薄さに不満を持った被害者に「より具体的な稼ぎ方」を提案します。入門教材は、誰でも知っているような一般的な情報を寄せ集めただけの、わずか数ページのPDFファイルということも。
「成功者限定の上級講座」「マンツーマンコンサル」などの名目で、数十万円から100万円超の支払いを要求されるのです。支払いを渋ると「この機会を逃すと一生稼げない」など、不安をあおる手口に出ます。実際の相談事例では、最初の数千円から始まり、最終的に350万円を支払わされたケースも報告されています。
中には、情報商材の購入者を次の被害者を勧誘する「セールスマン」として利用するケースも。支払った金額を取り戻すため、新たな被害者を紹介せざるを得ない状況に追い込まれます。まさに「マルチ商法」の手法を取り入れた、新たな形の詐欺と言えます。
副業詐欺の被害額
被害額は個人差が大きく、数万円で気づく人もいれば、100万円以上の被害に遭う人も少なくありません。特に20代から30代前半の若年層が狙われやすく、貯金を使い果たしてしまうケースも見られます。
貯金を使い果たしても「取り返さなければ」という焦りから消費者金融で借り入れを重ね、多重債務になってしまうパターンも増加中です。給料日に返済できず、別の消費者金融から借り入れる「自転車操業」になるケースも報告されています。
最近では、暗号資産（仮想通貨）での支払いを要求されるケースも増加中です。暗号資産（仮想通貨）は一度送金すると取り戻すのが極めて困難になってしまいます。このような暗号資産（仮想通貨）の特性を悪用した、新手の手口として警戒が必要です。
副業詐欺業者からの支払い催促への対処法
副業詐欺の被害に遭った場合によく見られるのが、業者からの執拗な支払い催促です。「本日中に連絡なき場合は法的手段を取らせていただきます」「給与差し押さえも辞さない構えです」など、威圧的な文面に不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、こうした催促に慌てて応じる必要はありません。以下では、具体的な対処方法について説明していきます。
支払い催促は無視してもいい？
メールやLINEでの支払い催促は、基本的に無視して問題ありません。詐欺業者は法的手段を取りたがらず、強硬な取り立てに出ることもまれです。なぜなら、裁判になれば詐欺の実態が明るみに出てしまうからです。
ただし、無視を続けると催促の頻度が増えたり、語気が強くなったりする可能性はあります。「明日中に支払わないと法的手段をとります」「あなたの住所は把握しています」といった脅し文句も一般的です。しかし、こうした脅しに動揺する必要はありません。実際に法的手段を取ってくるケースは極めて少数だからです。
音声通話での勧誘への対応
音声通話の録音は有効な証拠となります。録音できない場合は、日時や通話内容をメモに残します。スマートフォンには通話録音アプリもありますが、相手に録音の事実を告げる必要がある点に注意が必要です。
業者からの電話は留守電に回し、メッセージを残させるのも一つの方法です。留守電の音声データも証拠として使えます。最近では、AIによる音声認識技術を使って通話内容を自動で文字起こしするサービスも登場しているので活用すると良いでしょう。
電話番号は050や非通知が多いものの、履歴として残しておくことで、同様の被害にあった人との情報共有に役立ちます。警察による捜査の際にも、重要な手がかりとなる可能性があるでしょう。
副業詐欺の返金を求める方法
被害にあってしまったのは自分の責任…とあきらめず、返金を求めることは可能です。状況に応じて最適な方法を選びましょう。2023年の統計では、専門家に相談したケースの約6割で、全額または一部の返金に成功しています。具体的な方法を解説しましょう。
クーリングオフは可能なのか
特定商取引法の対象となる契約では、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリングオフが可能です。不実告知（重要事項について事実と異なることを告げた）があった場合は8日を過ぎても契約取消しができる場合があります。オンラインでの契約でも、法定書面の交付日から起算されるため、書面を受け取っていない場合はクーリングオフ期間がまだ始まっていないとみなされます。
クーリングオフは必ず書面で行いましょう。内容証明郵便で通知を送り、証拠を残すのがポイントです。書面には契約の特定に必要な情報（契約日、商品名、金額など）と、クーリングオフの意思表示を明確に記載します。控えのコピーは必ず保管しましょう。
クレジットカード決済の場合の対処法
クレジットカードで支払った場合は、すぐにカード会社へ連絡します。チャージバック（クレジットカード会社が決済を取り消し、利用者に返金する仕組み）を申し出れば、支払いを止められるかもしれません。支払い済みの場合でも、カード会社による調査で返金されるケースがあります。
カード会社によって対応は異なりますが、詐欺被害を説明し、証拠を提示すれば支払い停止に応じてくれることが多いようです。できるだけ早期の申し出が重要で、利用から60日以内が目安となります。
また、今後の被害を防ぐため、カード番号の変更を依頼するのも一つの手です。詐欺グループがクレジットカード情報を他の犯罪組織に流す可能性があります。不正利用の監視サービスがある場合は、積極的に活用しましょう。
振込で支払った場合はどうする？
振込の場合は、警察への被害届提出と振込先の金融機関への通知が重要です。振込から間もない場合は、金融機関が資金を凍結できる可能性もあります。特に振込から数時間以内であれば、組戻し（振込取消）ができる可能性が高くなります。
警察や金融機関への相談は早ければ早いほど効果的です。被害を認識したら即座に行動を起こしましょう。振込先の口座情報は必ずメモを取りましょう。多くの場合、詐欺グループは複数の口座を使い回すため、情報共有が被害拡大防止につながります。
振込先の銀行も被害を把握することで、不正利用口座として凍結措置を取ることができます。これにより、新たな被害を防ぐことができるのです。
副業詐欺にだまされないためのチェックポイント
事前の確認で多くの詐欺は見抜けます。怪しい案件を避けるポイントを押さえましょう。国民生活センターの統計によると、事前チェックを行っていた人の約9割が、被害を未然に防いでいます。副業詐欺の見分け方を詳しく解説しましょう。
怪しい広告の見分け方
「誰でも」「簡単」「高収入」といった非現実的な利益をアピールする広告文は、見かけたらすぐに要注意です。正当な副業でも、相応の努力と時間が必要です。
Web広告やメール、SNS、動画サイト、スマホアプリの通知など、広告の形態はさまざまですが、まずは宣伝文句を冷静に読み解きましょう。
「毎月○○万円確実」「リスクゼロ」といった表現が含まれていないか、具体的な仕事内容より「収入額」や「簡単さ」を強調していないか確認します。また、広告主の連絡先や会社情報が曖昧なものも危険信号です。広告をクリックする前に、必ずこれらのポイントを見極めることが大切です。
会社情報の確認方法
国税庁法人番号公表サイトで法人登録を確認します。所在地や代表者名など基本情報も調べましょう。正規の企業であれば、きちんとした事業実態があり、オフィスの実在も確認できるはずです。
登記情報は誰でも確認できます。実在する会社を装っているケースもあるため、電話での実在確認も有効です。特に、登記上の所在地と広告で使用している住所が異なる場合は要注意。バーチャルオフィスを使用していないかどうかも、重要なチェックポイントです。
法人登記があっても、設立間もない会社には警戒が必要です。詐欺グループは頻繁に会社を作り替えるため、設立から1年未満の会社との取引は慎重に判断しましょう。
事前の支払いを要求されたら？
副業開始前の登録料や教材費の支払い要求は、詐欺の可能性が極めて高いといえます。正当な副業なら、実際の仕事内容や報酬体系を具体的に説明するはずです。特に「今だけ特別価格」「期間限定募集」といった言葉で焦らせようとする手口には要注意です。
即決を迫られても、必ず慎重に判断しましょう。焦って判断を誤れば、取り返しのつかない被害に遭うことになります。少なくとも一晩置いて考える、家族や友人に相談するなど、複数の目でチェックすることが重要です。
正当な副業の場合、登録料などの初期費用は原則として発生しません。また、高額な教材を購入しなければ始められないというのも、典型的な詐欺の手口です。
副業詐欺の相談先
一人で抱え込まず、専門家に相談するのがおすすめです。状況に応じて適切な相談先を選びましょう。被害の初期段階で相談することで、二次被害を防ぐことも可能です。
消費者センターに相談
消費者センターなら無料で相談可能です。返金交渉のサポートも受けられ、土日も対応しています。全国の消費生活センターでは、副業詐欺の専門窓口を設置しているところも増えています。
相談窓口では被害の実態を具体的に説明し、証拠も提示しましょう。同様の被害情報が集まれば、業者への指導や取り締まりにつながります。また、他の被害者の対応事例を教えてもらえるかもしれません。
最近では、オンラインチャットでの相談も可能になっています。電話での相談が難しい場合は、チャットを活用するのも一つの手です。
警察に相談
警察相談専用電話「#9110」か最寄りの警察署で相談を受け付けています。ただし警察は民事不介入が原則で、詐欺の証拠が明確でないと積極的な介入は難しいです。それでも、被害届の提出は重要な証拠となります。
被害届は受理されなくても、警察に情報提供することで同様の被害防止につながります。警察では、詐欺事件の傾向を分析し、新たな被害を防ぐための活動に役立てているからです。
サイバー犯罪相談窓口も設置されており、オンラインでの詐欺被害に関する専門的なアドバイスを受けることができるでしょう。
弁護士への相談
弁護士なら返金請求の法的手続きや業者との交渉を代行してもらえます。着手金は必要ですが、確実な解決を目指せます。特に被害額が高額な場合は、弁護士への相談が有効です。
詐欺グループに対して内容証明郵便を送付したり、民事訴訟を提起したりするなど、法的な 圧力をかけることができるのも弁護士ならではの強みです。初回相談は無料の事務所も多いため、まずは相談だけでも検討してみましょう。
弁護士に依頼する場合は、消費者問題や詐欺被害の取り扱い実績がある事務所を選ぶことが重要です。最近では、副業詐欺に特化した専門チームを持つ法律事務所も増えています。
まとめ
副業詐欺で金銭的な被害にあわれた方は、当サイトで紹介している司法書士事務所・弁護士事務所へ相談することをおすすめします。豊富な実績と高度なスキルを活かし、被害回復へと尽力してくれます。
業者の所在が不明でも、犯人を特定し、被害回復へつなげてくれるのが特徴です。副業詐欺の被害で困っている方は、まずは気軽に相談してみると良いでしょう。
法的な対応が必要な場合は、これらの専門家による適切なサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
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