大手脱毛サロンやクリニックの破産が相次いでおり、多くの被害者が出ています。特に若い世代をターゲットにした強引な勧誘や高額なローン契約による被害が急増中です。
脱毛詐欺では多くの場合、予約が取れない、効果が出ないといった問題も発生し、解約を申し出ても高額な違約金を請求されるなど、二重三重の被害がおきています。さらに最近では、最初から倒産を計画し、短期間で集客しておきながら閉店する悪質業者も現れており、社会問題となっています。
一体どのような手口で詐欺が行われているのか、見破るポイントは何か、そして被害にあってしまった場合の対処法まで、実例を交えながら解説しましょう。
脱毛詐欺の手口とは?
近年、脱毛業界では悪質な営業手法が横行し、特に若者や女性を狙った被害が急増しています。SNSや街頭での勧誘から始まり、強引な契約締結まで、手口は巧妙化。国民生活センターには毎月数百件の相談が寄せられており、被害額は数千万円規模に上っています。ここからは脱毛詐欺の手口を解説しましょう。
無料体験で高額契約を迫る
無料カウンセリングと称して来店を促し、閉鎖的な個室で長時間拘束されながら契約を迫られるパターンが横行しています。カウンセリング中は「今日だけの特別価格」「もう二度とないチャンス」などとあせらされ、断りづらい雰囲気が作られるようです。実際に被害に遭われた方からは「断ると帰れないのではと不安になった」「疲れて冷静な判断ができなくなった」といった声が目立ちます。
特に問題視されているのが、2時間以上に及ぶ長時間勧誘です。トイレ休憩すら満足に取れない状況で、心理的に追い詰められていくケースが多発しています。中には「今日中に決めないと料金が倍になる」といった嘘の説明を受けたケースも報告されています。
虚偽広告による誘導
月額1000円という破格の料金を掲げておきながら、実際の契約時には50万円を超える高額プランしか提示されないという手口です。広告では目立つように格安料金だけを強調し、総額については極めて小さな文字で表記されているか、まったく記載されていない場合もあります。SNSなどでも「最短1カ月で脱毛卒業」などの誇大な表現で若者を誘導するケースが多発しています。
広告規制の網をかいくぐるため、法的に問題のない表現を巧みに使用しているのが特徴です。「月額」という文字を大きく表示し、その横にかなり小さな文字で「※36回払いの場合」と記載するなど、一般消費者には分かりにくい表示方法を採用しています。
計画倒産を前提とした営業
開業当初から計画的な倒産を視野に入れ、短期間で集中的に会員を集める悪質な業者が増えています。契約時には「全額返金保証」や「永久保証」をうたいながら、実際には数カ月で突然の閉店通知が出され、連絡が取れなくなるケースも。
このような業者の特徴として、店舗設備に必要最低限しか投資をせず、広告宣伝費に多額の予算を投じる傾向があります。また、従業員の入れ替わりが激しく、経験の浅いスタッフばかりが目立つといった特徴も。倒産直前には突然の「キャンペーン」を打ち出し、さらなる顧客獲得を図るケースも見受けられます。
通い放題の虚偽広告
「通い放題プラン」や「無制限コース」とアピールしながら、実際には予約が全く取れない状況が続くという手口です。解約を申し出ると高額な違約金を請求され、支払いを迫られるケースが多発しています。施術回数に制限があることや予約システムの実態について、契約時の説明が極めて不十分なことが特徴です。
多くの被害者が体験したのが、予約専用のウェブサイトやアプリで表示される「予約枠なし」の状態です。電話での予約も「システムの都合で受け付けられない」と断られ、結果として契約期間内に十分な施術を受けられないまま期限切れとなってしまいます。中には予約が取れた場合でも、実際の施術時間が極端に短く、効果を実感できないといった声も上がっています。
脱毛サロンの高額ローン問題とは?
全国の消費生活センターに寄せられる相談の中で、特に目立つのが脱毛サロンの高額ローン問題です。巧妙な手口で若者を誘い込み、返済能力を超えた契約を結ばせる手口が社会問題化しています。月々の支払いは少額に見えても、総額では数十万円から数百万円に及ぶケースも珍しくありません。ここからはその仕組みや実態を解説しましょう。
脱毛サロンの高額ローンの仕組み
医療ローンやクレジット契約による分割払いシステムを巧みに利用し、毎月の支払額を低く見せかける手法が横行しています。月々3,000円から15,000円という支払いを複数回払いで契約させ、総支払額が40万円以上になるケースが頻発しています。施術の質や効果については十分な説明がないまま、支払方法の話だけが進められる点も問題です。
若年層を狙うローン契約の実態
2022年4月の成年年齢引き下げにより、18歳から親の同意なしでローン契約が可能となりました。収入が安定していない学生や若者が、返済能力を超えた契約を結ばされるケースが急増しています。月々の支払額だけを見て契約してしまい、総額の大きさに気付かないまま債務を抱え込んでしまうことも珍しくありません。
高額ローン契約のリスク
予約の取りづらさから契約期間内に施術を完了できないケースが多発しています。解約を申し出ても高額な違約金を請求され、支払いに苦しむ状況に追い込まれるリスクがあります。また、倒産や閉店により施術が受けられなくなった場合でも、ローンの支払いは継続を求められるケースがあるようです。
さらに深刻な問題として、支払いが滞ると、個人の信用情報に傷がつき、将来的な住宅ローンやクレジットカードの契約に支障をきたす恐れがあります。若いうちにこうした事態になると、その後の人生設計に大きな影響を及ぼしかねません。
悪質なローン契約の手口
脱毛詐欺では、ローン契約の際に月額料金のみを強調し、総額についての説明を意図的に避けるケースが目立ちます。都度払いなど他の支払方法があることを説明せず、分割払いを強要する場合も。形式的な審査しか行わず、支払能力の確認が不十分なまま契約を結ばせる悪質な手口も報告されています。
特に注意が必要なのが、複数の契約書へのサインを求められるケースです。何の書類にサインしているのか十分に確認できないまま、知らない間に複数のローン契約を結ばされてしまうのです。
若者を標的とした詐欺被害の実態
国民生活センターの調査によると、若者を狙った美容医療トラブルは年々増加傾向にあります。特に18歳、19歳の人を狙った被害が急増しており、SNSを活用した巧妙な手口が問題となっています。被害に遭う前に知っておくべき実態と対策について詳しく解説していきましょう。
10代の高額契約被害
2022年4月から12月にかけて、18歳・19歳からの相談件数が前年同期と比べ約6.3倍に急増しました。特に無料カウンセリングを装った強引な勧誘により、高額な契約を結ばされるケースが多く報告されています。
被害の特徴として、友人からの紹介や知人、SNS投稿をきっかけとするケースが目立ちます。また、施術効果を過度に強調した写真を見せられ、冷静な判断ができない状態に追い込まれるケースもあるようです。
スカウト詐欺の手口
路上でのスカウトが窓口となっていることもあります。駅前や繁華街で「無料カウンセリング」や「お試し体験」という言葉で声をかけられ、サロンの建物内に誘導されるところから問題が始まります。
別室に通された瞬間から雰囲気が一変。強引な勧誘により、考える時間も与えられないまま数十万円の契約を結ばされます。
SNS広告の誘導手口
SNSでは「月額2,990円」「初月0円」といった格安広告で若者を誘い込み、実際は信販会社を通した分割払いで月額3,700円以上の契約を結ばせる手口が横行しています。「最短1カ月で脱毛卒業」「最大2年9カ月短縮可能」など、非現実的な効果をうたう誇大広告による誘導も問題です。
インフルエンサーを使った宣伝も問題です。有名人のステルスマーケティング(ステマ)を利用し、あたかも実体験であるかのように装って投稿を行うケースが増加しています。「全身脱毛一回で効果絶大」「痛くない」「時間が短い」といった非現実的な効果をアピールする投稿が後を絶ちません。実際の施術では、痛みを伴うケースや、効果の実感までに複数回の施術が必要なケースがほとんどです。
過去の脱毛詐欺被害事例は?
2022年以降、大手脱毛サロンの破産が相次いでおり、被害総額は数百億円規模に上っています。これらの事例からわかる共通点や対策のポイントを解説していきましょう。未払いの施術や返金トラブルに巻き込まれた利用者は10万人以上で、社会問題として深刻化しています。
アリシアクリニックの破産事例
2024年12月、9万人以上の債権者を抱えて突然破産申請を行い、負債総額は約125億円に上りました。全国展開していた大手医療脱毛クリニックだけに、被害は広範囲に及んでいます。破産直前まで新規契約を募集し続け、「全額返金保証」をうたっていた点が問題視されています。
被害者の多くは、数十万円から数百万円の前払い契約を結んでおり、施術を半分も受けていない段階での破産となりました。特に問題視されているのが、破産直前に行われた大規模なキャンペーンです。「10周年記念特別価格」と称して新規契約を募り、その直後に破産を申請するという悪質な手口でした。
シースリーの破産事例
2023年9月に負債総額80億円、4万6000人の債権者を抱えて破産しました。全身脱毛サロンとして知名度も高く、全国展開していた大手の倒産だけに社会的な影響は甚大でした。破産前の異常な値引きや、強引な契約更新の勧誘が問題視されています。
顧客からは「予約が取れない」「効果が出ない」といった苦情が相次いでいたにもかかわらず、新規契約の募集を継続していた点も大きな問題でした。また、破産直前まで従業員による営業ノルマが課せられており、顧客の支払い能力を超えた契約を結ばせていたケースも報告されています。
銀座カラーの破産事例
2023年12月、負債総額58億5700万円、約10万人の債権者を抱えて破産しました。全国50店舗を展開していた大手の突然の倒産により、多くの利用者が途方に暮れる事態となりました。施術未了分の返金保証が受けられず、高額なローンだけが残されたケースが多発しています。
特筆すべきは、破産直前まで積極的な広告展開を行っていた点です。テレビCMやSNS広告で知名度を上げ、信頼性をアピールしていたにもかかわらず、突如として破産を申請。多くの消費者が「大手だから安心」と考えて契約を結んでいただけに、被害は深刻なものとなりました。
脱毛ラボの破産事例
2022年8月に負債総額60億円、約3万人の債権者を抱えて破産しました。月額制を導入した先駆け的な存在でしたが、突然の倒産により多くの被害者を生み出したのです。施術の質に関する苦情や予約の取りづらさが問題視されていた矢先のことでした。
破産の背景には、過度な価格競争による経営の圧迫があったとされています。「業界最安値」をアピールし顧客を集めましたが、実際の施術コストを賄えない状況になっていました。また、コロナ禍での来店者数の減少も経営を圧迫する要因となりました。
ウルフクリニックの破産事例
2023年9月に破産申請を行い、債権者1317名、負債総額約4億円を抱えての倒産となりました。男性専用の医療脱毛クリニックとして展開していた点が特徴的でしたが、破産直前まで新規契約を募集し続けていた点が問題視されています。
男性向け脱毛市場の拡大を見込んで積極的な出店を行いましたが、経営が行き詰まったようです。広告費用の高騰や人件費の上昇が経営を圧迫し、最終的に破産に追い込まれました。男性向け専門店という特性上、被害者の多くが泣き寝入りしているケースも指摘されています。
脱毛詐欺を見破るポイントは?
近年、脱毛サロンやクリニックによる詐欺的な営業手法は巧妙化しています。被害を未然に防ぐためには、契約前の慎重な確認が重要です。特に注意すべきポイントと、具体的な確認方法について解説していきましょう。
店舗情報の確認方法
Googleでの検索結果や口コミが極端に少ない業者には要注意です。特に開業して間もない店舗や、SNSの広告でしか見かけない業者については、より慎重な確認が必要です。口コミサイトでの評価も、投稿時期や内容の信憑性を慎重に見極めましょう。
店舗の実在性を確認する際は、必ず複数の情報源を照らし合わせてください。国民生活センターのデータベースや、消費者庁の事業者警告情報なども参考になります。また、法人番号公表サイトで会社の登記情報を確認することで、経営の安定性や事業継続年数なども把握できます。
契約書の確認事項
クーリングオフと中途解約の条件、返金規定については必ず確認しましょう。説明を急かされたり、確認時間を十分に与えられない場合は、契約を控え、不明な点があれば納得いくまで質問することが重要です。
特に注意が必要なのが、解約時の違約金や手数料の規定です。「通常価格からの割引分を返金額から差し引く」といった不利な条件が細かい文字で記載されているケースもあります。
悪質な勧誘の特徴
不当な勧誘では、さまざまな手口が組み合わされて使用されますが、多くの場合、まず契約をその場で急がせる手法が取られます。
次に、心理的な揺さぶりをかけてくるのが特徴です。さらに、大声で畳みかけるように説明したり、複数のスタッフが入れ替わり立ち替わり説得を試みたりするなど、威圧的な態度で契約を迫ってきます。
料金については、総額を明確に示さず、月々の支払額のみを強調する傾向があります。施術に関する重要な制限事項や条件についても、故意に説明を避けようとするようです。
被害にあった場合の対処法は?
最後に、不当な契約を結ばされてしまった場合や、サロンが突然閉店してしまった場合など、被害に遭ってしまった際の具体的な対処方法を解説します。
クーリングオフを活用
契約書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件で契約解除が可能です。クーリングオフ期間内であれば、電磁的方法での通知も認められています。
具体的な手続きとしては、契約解除の意思を明確に示した書面を、内容証明郵便で事業者に送付します。書面には契約年月日、商品名、契約金額、契約解除の旨を明記し、クーリングオフを行使する理由は記載する必要はありません。なお、事業者から不当な解約金を請求されても、支払う必要はありません。
消費者センターへの相談
消費者ホットライン「188」に電話することで、最寄りの消費生活センターに繋がります。返金交渉や解約手続きについて、専門家のサポートを受けましょう。
消費生活センターでは、類似の被害事例や解決方法についての情報も提供してもらえます。また、必要に応じて事業者との交渉を代行してもらえるケースもあります。相談は無料で受けられ、秘密は厳守されますので、被害に遭った際はすぐに相談しましょう。
信販会社への支払い停止
会社が倒産した場合、支払い停止の抗弁書を提出することで、クレジット会社への支払いを止めることができます。
まずクレジット会社へ連絡を取り、エステ会社の倒産や施術未了の事実を説明した上で、支払い停止の抗弁書の提出方法について具体的な案内を受けます。抗弁書の作成では、契約内容や被害状況を具体的に記載し、関連する証拠書類を漏れなく添付することが重要です。これにより、支払い停止の正当性を証明することができます。
警察への被害届提出
悪質な営業や詐欺的な手口が明らかな場合、警察に被害届を提出することで刑事事件として捜査される可能性があります。被害届の提出に向けて、証拠となる資料は発見次第、可能な限り保管しておきましょう。
被害届の提出時には、できるだけ多くの証拠資料を用意することで、事件性の立証がスムーズになります。具体的には、契約書の写しや領収書、クレジットカードの明細といった支払いの証明が重要な証拠です。また、事業者とのメールのやり取りや通知文書なども、詐欺的な行為を示す重要な証拠となります。
弁護士・司法書士へ相談
詐欺返金に強い弁護士・司法書士への相談がおすすめです。返金請求や損害賠償請求の手続きをサポートしてもらえます。
法的手続きを進める際には、まず被害の法的な評価と具体的な対応策の提案をしてもらいましょう。その後、事業者への内容証明郵便の作成・送付から、必要に応じて民事訴訟の提起や訴訟活動の代理まで、まとめて支援してもらうことが可能です。また、状況に応じて債務整理や自己破産の手続き支援を受けることもできますし、示談交渉を代理人に任せることで、より有利な解決を目指すこともできます。
調査会社に相談する
調査会社は尾行・張り込みやネット調査などの専門的な技術を駆使して、詐欺師の特定や証拠収集が可能です。
調査会社への依頼を検討する際は、まず第一に探偵業の届出の有無を確認することが重要です。続いて具体的な料金体系の説明を受け、予算との整合性を確認しましょう。調査結果がどのような形式で報告されるのか、報告のタイミングや方法についても事前に合意を取り付けておくことで、スムーズな調査の進行が期待できます。
まとめ
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