口座売買は、犯罪行為のひとつです。たとえ金銭的に困っている状況でも決して行ってはいけません。
SNSやネット掲示板等、意外と身近で口座売買の募集がされていることにも注意が必要です。
そのような募集を見て、法に触れると知らずに取引してしまった方もいるでしょう。すでに口座売買を行ってしまった場合には、一刻も早い対処が必要です。
本記事では、口座売買が犯罪として取り締まられる可能性と、逮捕リスクを最小限に抑えるための対処法を徹底解説していきます。
【逮捕リスクあり】口座売買が絶対NGな理由
口座売買の勧誘では「簡単にお金が手に入る」と謳っていますが、決して安易に行ってはいけません。
口座売買が絶対NGな理由は以下の4つです。
他の銀行口座も凍結されてしまう
他の詐欺被害に遭いやすくなる
口座売買がバレると職を失う
それぞれの理由について、詳細に解説していきます。
理由1.詐欺罪や犯罪収益移転防止法で逮捕される
口座売買の最大の重要なリスクは、逮捕の可能性があることでしょう。
具体的には、「詐欺罪」または「犯罪収益移転防止法違反」に問われる可能性があります。
口座売買のために新規口座を作成した場合は「詐欺罪」に、既に所有していた口座を売買した場合は「犯罪収益移転防止法違反」に該当します。
特に、詐欺罪には執行猶予がありません。起訴されて有罪を言い渡されれば、懲役刑となることは確実なのです。
詐欺罪の場合には10年以下の懲役、犯罪収益移転防止法の場合は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
理由2.他の銀行口座も凍結されてしまう
近年、口座を利用した詐欺などの悪質な犯罪が増加しています。
令和2年のデータでは口座の利用停止・強制解約件数は45,915件に及びます。
口座売買によって買われた口座は、多くが犯罪に利用されていることはご存じでしょうか。
悪用されている口座では「多額の現金が入金され、その後すぐに引き出される」という特徴的な動きが見られます。このような動きには銀行側も敏感に反応しています。
銀行側が口座にこのような不審な動きを見つけた場合は、利用停止や強制解約などの措置に踏み切ることがあるのです。
売った口座が悪用されると、自身の所有している口座が全て凍結されます。そして、その凍結は、原因となった犯罪が解決しない限り解除されません。
銀行口座が凍結されてしまい、貯めていたお金が引き出せないとなれば、生活への影響が大きいことは明白でしょう。
また、新規口座の開設も難しい場合が多く、給与の振り込みなどにも支障が出てきます。
理由3.他の詐欺被害に遭いやすくなる
基本的に、口座売買を持ちかけられる人は低収入であったり、もしくは借金問題を抱えていたりする場合がほとんどです。
口座売買に応じると「この人はお金がないから簡単に騙せるかもしれない」と認識されてしまいます。いわゆる「カモリスト」に入ってしまうのです。
このようなリストは業者間で情報が共有されているとされています。その結果、他の詐欺被害に遭う可能性も高くなってしまいます。
理由4.口座売買がバレると職を失う
口座売買が職場にバレてしまうと、職を失うリスクがあります。
口座売買を行って逮捕された事実は、かなりの確率で職場にもバレてしまいます。
逮捕されずとも、口座が凍結されていて新しい口座が用意できない状況は職場側も不審に思うでしょう。その結果、口座売買がきっかけで職を失ってしまうこともあるのです。
このような経緯で職を失ってしまうと、次の職を見つけるのにも苦労してしまいます。また、就職活動中の場合には内定取り消しになる可能性もゼロとは言えません。
目先のお金に目がくらんだばかりに、もっと大きなものを失うことになるのです。
【注意】口座売買が実際に行われる場所
口座売買は、特別なサイトだけで取引されているわけではありません。一般的な求人サイトで取引を持ち掛けてくる場合もありますので、注意が必要です。
具体的に口座売買が実際に行われているのは以下の3つの場所です。
- SNSやネット掲示板
- 口座売買のサイトや求人サイト
- 闇金
ここからは口座売買が行われている場所について、詳しく紹介していきます。
SNSやネット掲示板
SNSやネット掲示板などでも、口座売買が行われています。
例えばTwitterで「口座売買」と検索すると、口座売買を勧誘する書き込みが多く表示されます。
一見すると口座売買とわからないような書き方をしている場合もあるので、注意しましょう。
このように、身近なところにも口座売買の誘いが潜んでいます。軽い気持ちで交渉に応じてはいけません。
口座売買のサイトや求人サイト
専用のサイトや「闇バイト」の求人サイトで、口座売買の募集が行われています。
口座売買は口座を売るだけですから、誰でも簡単にできる簡単副業として紹介されているケースもあるのです。
また、一般的な求人サイトにも「簡単作業」などの謳い文句とともに募集されている場合があります。
闇金
闇金を利用し、支払いが難しくなってしまうと、金銭の支払いの代わりとして銀行口座の引き渡しを求められる可能性があります。これは、闇金業者自身が飛ばし用の口座を必要としているためです。
闇金の執拗な取り立てによって精神的に追い込まれてしまえば、正常な判断はできないでしょう。「借金が楽になるなら・・・」と考えて口座を引き渡してしまう可能性も低くありません。
安易な判断で、人生が大きく狂うことになるのです。
口座売買の逮捕事例
続いて、口座売買によって実際に逮捕されてしまった3つの事例を紹介します。
事例1:ネット口座売り渡し、男女4人逮捕
インターネット口座を口座売買目的で開設したとして、20~50代の男女4人が逮捕された事例です。
この事件では指定暴力団員の男が首謀し、口座開設の報酬として約30万円を渡していたとのことです。
首謀者の男は、SNSで若者を勧誘し、口座を開設させていました。
事例2:空き家情報を悪用して口座開設し、売買した詐欺グループ逮捕
群馬県では、空き家情報を利用して架空の人物の口座を開設・売買したとして詐欺グループが摘発されました。
不動産関連会社に勤めていた男から空き家情報を入手して口座を作成し、400を超える数の不正口座を売買したとされています。
事例3:口座売買で日本人12人が一斉摘発
口座売買サイトの管理人を含む12人が一斉に摘発されました。
発覚のきっかけは、一般財団法人「日本サイバー犯罪対策センター」(JC3)と埼玉県警が合同で行ったサイバーパトロールです。
このとき発見された口座売買サイトや掲示板の書き込みをもとに各地の警察が捜査を進め、12人の一斉摘発に至っています。
摘発された12人のうち、犯収法違反容疑で逮捕したのは7人でした。
口座売買をしてしまった場合の対処法
口座売買をしてしまった場合、どのように対処すれば良いか悩むことでしょう。
この項目では、口座売買をしてしまった時の対処法を解説していきます。
結論から申し上げますと、売買してしまった口座はすぐに解約するべきです。
これは、口座を解約することで、その口座が犯罪に利用されるのを防ぐためです。
その上で、司法書士や弁護士に相談して判断を仰ぐことをおすすめします。口座を解約したとしても、既に口座が利用されてしまっている可能性もあり、警察から連絡がくる可能性もあるためです。
それぞれ、詳細に見ていきましょう。
すぐに口座を解約する
買い取られた口座は、振り込め詐欺などの悪質な犯罪に利用されるケースが多くなっています。悪用による被害を防ぐためにも、売却した口座はできるだけ早く解約することが重要です。
犯罪行為に利用される前に口座を解約してしまえば、口座売買の事実が銀行や警察に知られる可能性は低くなるでしょう。
また、警察や銀行が動いた後でも、早期に口座解約していれば情状酌量の判断を受けられる可能性が高まります。
警察から連絡がきていない状況でも、まずは売買してしまった口座を解約することが大切です。
司法書士や弁護士に相談する
「警察から連絡が来ている」「すでに口座売買を行ってしまったが、どうしたらよいのかわからない」などの状況であれば、司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
また、警察から呼び出しを受ける前に司法書士や弁護士に相談しておけば、どう対処すべきか適切なアドバイスが得られます。警察からの連絡にも不安なく対応できるでしょう。
大前提として、口座売買をしてしまった以上は「その時」が来ることを覚悟しなければなりません。
1人での解決は困難を極めますから、犯罪であると気付いた時点で司法書士や弁護士への相談をおすすめします。
警察に逮捕された直後は、家族や友人との面会はできません。一定期間は弁護人のみ面会できると決められています。信頼できる先生と今後の見通しを確認したうえで、取り調べについてアドバイスを受けましょう。
弁護士は、早期釈放を目指して動いてくれます。初犯かつ深く反省していると認められれば、起訴猶予の判断が下りる場合もあるでしょう。また、相手に騙されて口座売買をしてしまったようなケースでは情状酌量される可能性もあります。
また、起訴を受けた場合でも、刑事裁判の弁護を依頼することも可能です。
状況や司法書士・弁護士の手腕にもよりますが、法律問題の専門家が後ろ盾に付けば有利に進めやすくなると言えるでしょう。
口座売買をしてしまった場合、まずは司法書士や弁護士に相談することが重要です。
まとめ
今回の記事では、口座売買の危険性から、すでに口座売買を行ってしまった場合の対処法まで徹底的に解説してきました。
繰り返しになりますが、口座売買は犯罪行為です。悪質な犯罪に利用されるケースもありますから、いくらお金に困っていても絶対に口座売買に手を染めてはいけません。
口座売買での逮捕事例も報告されています。すでに口座売買をしてしまった場合には、早期に口座を解約して司法書士や弁護士に相談しましょう。
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