借金の返済が困難になった場合、債務整理を検討する方は多いでしょう。中でも任意整理は裁判所を通さない手続きであるため、自分で行えるのではないかと考える方もいるかもしれません。実際に任意整理は法律上、自分で行うことも可能な手続きです。
ただし、手続きには専門知識や交渉術が必要で、債権者との交渉も容易ではありません。この記事では、任意整理を自分で行う場合の手順や必要書類、注意すべきポイント、よくある失敗例について詳しく解説します。
国が認めた「債務整理」という手続きを活用すれば、月々の返済額を減らしたり、日々の取り立てを止めたりすることができます。手続きはカンタンなので、まずは債務整理に強い専門家に無料相談してみましょう。
任意整理は自分でできるって本当?

結論から言えば、任意整理は個人でも行うことができる手続きです。しかし、専門知識が必要で債権者との交渉も非常に困難です。ここでは自分で任意整理を行う場合の手順や必要な書類について説明します。
取引履歴の取得と引き直し計算がスタートライン
任意整理を自分で行う場合、まず借入先に取引履歴の開示を請求し、全ての取引内容を把握することから始まります。取引履歴には借入額、返済額、金利などの詳細な情報が記載されており、正確な債務額を把握するために欠かせません。
次に利息制限法に基づき引き直し計算を行い、本来の債務額や過払い金の有無を確認します。利息制限法では元本額に応じて年利15~20%が上限とされており、法定金利を超える利息を支払っていた場合は過払い金が発生している可能性があります。この計算は非常に複雑で、ミスがあると不利な和解内容につながるおそれもあるため、注意が必要です。

手続きを行うには多くの書類が必要
任意整理を行う際に必須となる書類は、身分証明書、印鑑、キャッシュカードやクレジットカードです。これらは本人確認や債権者との連絡に必要な基本的な書類となります。
手続きをスムーズに進めるためには、源泉徴収票、借用書や契約書、借入残高がわかる書類があると効果的です。
借入先が不明な場合は、信用情報機関から情報を取り寄せる必要があり、CIC、JICC、KSCの3つの信用情報機関に開示請求を行えば、すべての借入先を確認することが可能です。
債権者との交渉がもっとも高いハードル
任意整理は裁判所を通さず債権者と直接交渉する手続きです。重要なポイントは、債権者が交渉に応じない場合、任意整理は成立しないということ。
貸金業者の中には、個人との交渉を受け付けない方針を取っているところもあり、専門家でなければ話し合いにも応じてもらえない可能性があります。
また、和解内容の検討や合意書の作成もすべて自分で対応しなければなりません。書面の内容に不備があると後々トラブルにつながるおそれがあるため、法的に有効な文書を作成するための知識が求められます。
自分で任意整理する際の注意点とリスク

任意整理を自分で行う場合、さまざまなリスクが伴います。債権者との交渉が不成立に終わったり、不利な条件での和解になったりする可能性が高いのが実情。ここでは主な注意点とリスクについて解説します。
不利な条件で和解させられる危険あり
自分で任意整理をする場合、債権者との交渉において将来利息のカットや返済回数の延長など、有利な条件を引き出しにくいのも大きな問題です。
専門家が交渉する場合と比べて、個人では債権者に対する交渉力が大幅に劣るため、思うような条件での和解は困難でしょう。
引き直し計算のミスで過払い金を見逃してしまう
過去の高金利時代に借り入れていた場合は、過払い金が発生している可能性が高いにもかかわらず、引き直し計算でミスをすると損失につながってしまいます。特に2007年以前からの借入れは、法定金利を大幅に超える利息を支払っていた可能性が高く、正しく計算すれば相当額の過払い金が戻ってくる可能性もあります。
しかし、計算ミスや資料の不備によって、過払い金を見落としたりすると、本来支払う必要のない金額まで返済することになりかねません。過払い金を見落としていたとしても、債権者側が親切に教えてくれることはないでしょう。
督促・取り立てが止まらないストレス
専門家に任意整理を依頼すれば「受任通知」で督促が止まりますが、自分で手続きする場合は督促が続くことになります。手続きが長引くほど精神的な負担は大きくなり、家族に知られるリスクも上がるし、督促の電話や郵便物が続けば、借金の存在がばれてしまう可能性はさらに上がります。
返済計画を立てる際に現実的な返済能力を見誤ると、再び支払い不能に陥る危険性があります。無理な返済計画を立ててしまうと、和解後に返済が滞り、一括請求を受けるリスクも否定できないのです。
専門家に任意整理を依頼した場合との違い

自分で任意整理を行う場合と、専門家に依頼する場合とでは、結果に大きな差が生じることがあるので、費用は発生しますが、その分、手続きの確実性や安全性は格段に高まるでしょう。
債権者とのやり取りがなくなり計算ミスも起こらない
弁護士や司法書士が受任通知を送付した段階で、債権者からの直接連絡が禁止されるため、督促や取り立てが止まり、平穏な日常を取り戻すことができ、精神的な負担は大きく軽減されます。
専門家は、利息の引き直し計算や過払い金請求などの複雑な処理にも慣れており、見落としがちな過払い金も確実に発見してきちんと回収手続きを行ってくれます。
和解内容や返済計画についても、無理のない形でまとめてもらえるのが強みです。依頼者の収入や生活状況に応じた現実的な返済プランを作成し、債権者との交渉も有利に進めてくれるでしょう。

状況次第で別の手続きへの切り替えも可能
債務整理には状況に合わせて、主に3つの手続きがあります。
状況次第では任意整理が適正とは言えないこともあり、自分でこのまま進めていても失敗するリスクが常につきまとってしまうのです。
一方、専門家に相談・依頼した場合は、現状にもっとも適した債務整理手続きを提案してもらえ、個人再生や自己破産といった手続きに状況次第で切り替えることが可能です。任意整理では解決が困難と判断された場合でも、スムーズに他の手続きに移行ができます。
注意したいのは費用倒れになるケース
任意整理の専門家費用は、1社あたり2~5万円に加えて、減額報酬が10%程度かかるのが相場です。
債権者数が多いほど費用は増加しますが、交渉の成功率や有利な条件での和解を考えると、十分にペイする投資といえるでしょう。
ただし、そもそもの借金が少ない場合は費用倒れになるケースもあり得るため、その点だけは専門家に依頼する際に注意しなければなりません。
とはいえ、近年では、着手金無料や分割払いに対応する事務所も増えてきました。初期費用の負担を軽減する仕組みが整っているため、手持ち資金が少ない状況でも、専門家へ依頼しやすくなっています。

自分でやる任意整理のあるある失敗ポイント

任意整理を自分で行う際に陥りがちな失敗パターンを知っておくことで、同じ過ちを避けることができます。実際の失敗例とその背景について詳しく見ていきましょう。
交渉拒否・不成立の失敗例
債権者によっては、個人との交渉を一切受け付けない可能性もあり、特に大手の消費者金融やクレジットカード会社では、弁護士や司法書士からの連絡でなければ、任意整理の相談に応じない方針を取っているところが多数あります。
任意整理では債権者を選んで手続きすることも可能ですが、複数社のうち一部だけ応じないと、全体の整理が難しくなるため、主要な債権者が交渉を拒否した場合、債務整理の効果が大幅に限定されてしまいます。
その結果、他の債務整理手続きを検討せざるを得なくなり、時間や労力が無駄になってしまうケースも少なくありません。
返済計画の失敗・滞納による一括請求
和解後に返済が滞ると、契約違反として一括返済を求められるおそれがあります。任意整理の和解契約には、通常、2回以上の支払い遅延で「期限の利益」を失い、残りの債務を一括で返済しなければならないという条項が盛り込まれているのが一般的です。
また、無理な返済計画を立ててしまい、支払い不能に陥るケースも少なくありません。収入に対して過大な返済額を設定したり、生活費を十分に確保しなかったりすると、継続的な返済が難しくなります。
一括請求を受ける事態に陥ると、それまでの任意整理の努力が無意味になり、かえって状況を悪化させてしまうおそれがあります。
過払い金や時効の見落とし
引き直し計算のミスによって、過払い金の返還請求ができず、損をするケースがあり、特に取引履歴が複雑な場合、正確な計算が行われず、過払い金の存在に気づかないまま和解してしまうことも少なくありません。
さらに、すでに時効が成立している借金を整理の対象に含めてしまい、本来は返済の必要がないにもかかわらず、支払いを続けてしまう失敗も見受けられます。消費者金融や銀行からの借入れは、通常5年で時効が成立します。しかし、その知識が不足していると、時効の主張をせずに返済を続けてしまうのです。
こうした見落としにより、支払う必要のない金額を返済し続けることになり、結果として大きな損失を被ることになりかねません。
まとめ

任意整理は、法律上は自分で行うことも可能な手続きですが、実際には多くの専門知識と交渉スキルが求められ、さらに、債権者が個人との交渉に応じない場合や、計算ミスによる不利な和解してしまうケース、加えて督促が止まらないことによる精神的なストレスなど、さまざまなリスクが伴います。
一方で、専門家に依頼することで、受任通知による督促の停止、正確な引き直し計算、有利な条件での和解交渉といった多くのメリットが得られます。費用はかかりますが、過払い金の回収や分割払いに対応している事務所も多く、経済的な負担を抑えることも可能です。
借金の返済でお困りの状況であれば、まずは債務整理に詳しい弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、自分に最も合った解決策を見つけられるでしょう。
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